デジタル時代のお金の「今」と、
経理業務が「楽」になる方法をお届けする

ジャーナル

株式会社MJS Finance & Technology | エムエフティー(MFT)

在宅勤務(リモートワーク) が
可能にならない企業の問題点





デジタル化・DXによる場所と時間を選ばない働き方が増えて、在宅勤務をする人も増えました。その一方で企業のデジタル化が進んでおらず、環境が整備されていないため、現在、60%の人は変わらず出社することが必要とされています。

在宅勤務の導入はメリットになる部分も多いのですが、デジタル化・DXが進んでいない理由は何なのでしょうか? またこれから企業が解決すべき問題はどこにあるのでしょうか?

複数の調査会社がデジタル化・DXについて、現場で働く人や企業にアンケート調査を行っています。今回は新型コロナウイルスの影響を受けて進んだデジタル化の実態と、DX化する上での課題について解説してみました。

デジタル化・DXによる場所と時間を選ばない働き方が増加

新型コロナウイルスの影響でデジタル化・DXが進み、場所と時間を選ばない働き方が増えています。

コロナ流行前後の期間を問わず、約4割の企業で在宅勤務が可能になったことが、「勤務場所を選ばないフレキシブルな働き方についての調査」でわかりました。

(引用:株式会社マーケティングアプリケーションズ「勤務場所を選ばないフレキシブルな働き方についての調査」)


全国の20歳〜59歳の働く男女2000人を対象にした同調査では、「コロナ前から在宅勤務が可能」「コロナ以降在宅勤務が可能となり、現在も継続中」「コロナ以降在宅勤務をしていた、原則出社に戻った」の3つの回答の合計が、39.3%を占めています。

コロナの影響で在宅勤務が可能になった人が大幅に増加し、会社に行かなくても仕事ができる環境が増えていることがわかりました。

このような現状によって、実際に出社する必要のない環境をもとに、新たに優秀な人材を雇用したり、副業による他社の優秀な人材をピンポイントで活用したりする動きが出てきています。

(引用:株式会社リクルートキャリア「兼業・副業に関する動向調査」)


全国1,660人の人事担当者向けに行われた「社外の兼業・副業人材を受け入れている目的」についての調査では、「人手不足を解消するため」が56%、「社内人材にはない知識やスキルを持った人材を確保するため」が46%という結果が明らかになりました。

また「多様な働き方を促進するため」が34.5%となっている点からも、デジタル化を取り入れた在宅勤務を積極的に取り入れている企業の姿勢を感じます。 コロナ禍で必要に迫られて多くの企業が取り入れた在宅勤務でしたが、収束後も在宅勤務を希望する人が多い現状にも注目です。


(引用:クアルトリクス合同会社「コロナ禍における働き方の実態調査」)



3,405人を対象にした「コロナ禍における働き方の実態調査」では、在宅勤務をしている人のほぼ90%が在宅勤務を継続したいと回答しています。さらに会社に通勤している人の約30%も在宅勤務をしたいと答えていました。

コロナがきっかけで広まった、時間と場所に縛られない在宅勤務を代表とする多様で柔軟な働き方を、コロナ収束後も継続する企業の姿勢が重要です。そして、より高スキルな人材をピンポイントで活用するためには、デジタル化・DXの推進は必要不可欠といえます。

とはいうものの、いまだ60%は在宅勤務が導入されていないのが現状です。また現在、在宅勤務であっても、収束後に在宅勤務が困難になる人も少なくありません。

(引用:株式会社マーケティングアプリケーションズ「勤務場所を選ばないフレキシブルな働き方についての調査」)


「勤務場所を選ばないフレキシブルな働き方についての調査」では、コロナ流行後に在宅勤務が可能になった企業に勤務する人で、「現在は在宅勤務可能だが、コロナが落ち着くと不可になる予定」の人が34%もいることがわかりました。

なぜ、在宅勤務が可能な環境を企業はつくれないのか?

在宅勤務を可能にするために、必要なのは企業のデジタル化やDXですが、これらを推進することは、企業にとってメリットが多いと思われるのですが、現状ではあまり進んでおらず、結果として、新型コロナ感染対策中に広がった在宅勤務の継続は減少すると見られています。

これには以下2つの問題が挙げられます。

1, 企業側が人材育成/採用ができていない

2, デジタル化・DXへの投資効果がわからない

「全国の中小企業経営者600人に聞いたデジタル化実態調査」では、デジタル化が進んでいない企業がデジタル化・DX化する最大のハードルは、会社の規模に関わらず「スキルのある人材が不足している」ことだとわかりました。

(引用:株式会社リブ・コンサルティング「全国の中小企業経営者600人に聞いたデジタル化実態調査」)


さらにデジタル化・DX化への「投資対効果が分からない」のは、企業規模が300人以上の会社の42.9%、100人以上300人未満の企業では33.9%となっています。

また、企業規模を問わず30%前後の会社が、「費用負担が大きい」こともハードルに感じているようで、コスト面で躊躇している様子が窺えます。デジタル化・DX化の必要性は感じているものの、かけたコストの分以上の業績アップが見込めるかどうか不安視している企業が少なくないことがわかります。デジタル化・DX化の目的がコスト減であるとするとこの結果は当然のことと思えます。


身近なクラウドツールでデジタル化・DX化によるメリットを感じるべし


いきなり大がかりなデジタル化・DXを進めるのはハードルが高いのは事実です。まずは、身近な部分から初めて、多様化する働き方のメリットを感じるとよいでしょう。

まずはDXの重要部門でありながら、請求手続きや経費承認などで在宅勤務ができなかった経理部門から少額コストでの改善に手をつけてみてはいかがでしょうか?例えば、請求書発行やクラウド会計ソフト等のツールを導入してみるなどがあります。 2020年11月時点で、半数近くの経理担当者がテレワークを実施していないので、少額コストでテレワーク環境を整えることで、人材の確保力は大きく向上します。一般的に中小企業の困りごととして、人材確保とされていますが、これによって大きく他社との差別化が図れます。

(引用:株式会社インボイス「経理部門のテレワークに関する実態調査」)


企業に勤めている経理部の主たる現場担当者523人への調査では、「テレワークを実施したことがあるが、現在は実施していない」が30.4%、「実施したことがない」が18.1%もいることがわかりました。

在宅勤務形態の導入は、初めてとなる企業様が大半と思われますが、在宅勤務を可能とするデジタル化は人材確保の非常に効果的なツールであることが否定できない環境となっています。まずは、身近なデジタル化ツールで、経営層自身がデジタル化によるメリットを体感・実感し、デジタル化を推進する人材を育成/確保するとともに多様な働き方を可能にする組織とすることができると考えます。解決できます。 2021年9月からデジタル庁が設置されることもあり、デジタル化・DXを進めるための補助金や支援制度も豊富に用意されています。これらの制度を積極的に活用して、通常業務のデジタル化・DX化を推進してみていはいかがでしょうか。