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ジャーナル

株式会社MJS Finance & Technology | エムエフティー(MFT)

経理業務の効率化から
手をつけよう



経理業務はテレワークを推進している企業が増えている中でも、出社しないと仕事が進まない業務が多く残っている部門でもあります。
しかし、デジタル化・IT化を進めれば効率化を図れる部分が多く、実際に多数の企業が経理業務を改善することで会社の生産性を上げようと取り組んでいるのも事実です。
では、経理業務のどの部分に問題があるのでしょうか? また実際に経理部門の業務効率化に成功した企業はどんな改革を行ったのでしょうか?
様々な会社が、経理業務の効率化が困難と感じる現場の声や、経理業務を効率化するならどの部分なのかを調査しています。

面倒な業務が残っている部署が経理部

社内業務の中で最も面倒なものは「経理業務」で、その中でも「経費精算」だと株式会社クラビスが行った全国20~50代の1,000人のビジネスパーソンを対象にした調査で判明しました。

引用:株式会社クラビス「仕事の効率に関する調査」https://streamedup.com/seminar/20140823_837

1位が51.8%で「経費精算」になっており、2位の「購買申請や出張申請書など」の35.2%と比較して、16.6%も多い結果となりました。

また5位の「見積書や請求書の発行」も24.5%と全体の約1/4を占めているのも見逃せません。1位の「経費精算」と合わせると、全体の75%近くが経理部門の業務が面倒だと感じていることになります。

この経費精算について、同調査では「経費精算はいつ行っていますか?」との質問もしています。この結果「勤務時間外」の回答が16%にも上って、6人に1人が勤務時間外に経費精算している実態が判明しました。

さらに経費精算のために残業する理由を質問すると、「経費精算は面倒なので後回しにしてしまう」が50.9%、「勤務時間内は忙しくて、経費精算作業をする余裕がない」が35.4%と、業務自体を効率化した方がよい面もあるのでは、とうかがえる内容が上位に挙がっています。

引用:株式会社クラビス「仕事の効率に関する調査」https://streamedup.com/seminar/20140823_837

経理業務は、手間を感じている人が多く、経理・財務部門のテレワーク率は全体平均より1割少ない31.2%に留まっていると、全国の経理・管理職554名を対象にした株式会社インフォマートの「コロナ禍における経理・財務の業務内容についてのアンケート」で判明しています。

引用:株式会社インフォマート「コロナ禍における経理・財務の業務内容についてのアンケート調査」https://corp.infomart.co.jp/news/detail.html?itemid=906

会社の生産性が経理業務に連動しているケースは少なくない

経理業務を効率化することで会社の生産性を上げたいと考えている企業が増加していることが、デロイトトーマツグループのCFOの意識調査「Deloitte CFO Signals」でわかります。

47社のCFOに経理関連業務に関する進行中の取り組みを尋ねたアンケートで、「業務改善(BPR)の推進」が73%で一位、次いで「会計システム(ERP)の導入や刷新」が46%で2位になりました。この調査から経理業務の効率化に積極的に取り組んでいる企業が多いようです。


引用:デトロイトトーマツグループ「CFO意識調査「CFO Signals」」
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/nr20180315.html


また同調査では、経理部門の業務効率化は他部門との密接な連携が欠かせないとも分析しています。

経理プロセスであっても、取り組みの対象は多様な部門と連携の上で行われています。連携対象の部門は情報システム部門(56%)、調達部門(50%)、営業部門(40%)、事業部門(38%)、物流部門(35%)が上位5部門でした。業務改善(BPR)の取り組みは、受注手配や購買発注等の営業事務及び調達の前工程に遡った上で推進されていることがわかります。

引用:デトロイトトーマツグループ「CFO意識調査「CFO Signals」」https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/nr20180315.html

またNECの「会計システムに関するユーザアンケート調査結果2020」でも似た傾向が出ていました。

直近で行った業務改善の取り組みとして、「業務プロセスの見直し」が39.1%で一位、次に「会計システムの見直し」の32.3%が二位と業務全体の流れと経理部門の効率化を進めている企業が半数近くを占めています。

引用:NEC 「会計システムに関するユーザアンケート調査結果2020」
https://www.nec-solutioninnovators.co.jp/ss/achr/macromill_report_2020/index.html

実際に経理部門をデジタル化して業務改善を行った企業の事例の1つで、インターネット広告会社の大手の2005年11月にジャスダック上場した株式会社ファンコミュニケーションズの例を見てみましょう。

毎月2,500件以上の請求書送付を、印刷から発送先の照合チェックまで3~4人がかりで行っていたのが、効率のよい請求書発行デジタルツールを導入したことにより年間200万円以上のコスト削減につながったそうです。

毎月の請求書郵送数が約2,500件から約20件にまで減少しました。今まで3~4人がかりで手作業していた封詰め作業が不要となり、48時間かかっていた作業時間はゼロになりました。同時に誤封入・誤配送のリスクや不安、ストレスも無くなりました。
また、今まで郵送前に、営業担当者やお客様へ個別でPDFデータを送付していたのですが、WEB発行へ切り替えたおかげでその対応も不要になり、その他の請求業務に集中できるようになりました。

引用: 「経理の半数以上が大変と感じる「請求書の手作業」改善事例をご紹介!」
https://keiriplus.jp/efficiency/seikyuusyo-tesagyou/

現場で請求書・注文書を紙で管理することで、非常に多くの業務が発生していることがよくわかる事例です。作業量が多い場合は、人件費も負担になっていることを考えるべきでしょう。

経理部門のコスト削減・改善方法

1.現金のやり取りを極力減らす

経理部門のコスト削減でまず取り組みたいのは、現金(特に小口現金)のやり取りを減らすことです。

TOMOWEL Payment Service株式会社が1,000人の経理担当者に行った「オフィスのキャッシュレス化に関する実態調査」によると、「現金の精算処理は経理業務の負担に感じますか?」という質問に対し、「とても負担を感じる」が29.7%、「どちらかというと負担に感じる」が41.9%と、合わせて71.6%の担当者が負担に感じていることが判明しました。

引用: 「オフィスのキャッシュレス化に関する実態調査」
https://officenomikata.jp/news/10897/

小口現金があるだけで現金の出し入れをする担当者を置かなくてはならず、日々取引内容や支払額などを現金出納帳に記録し、金庫の残金を計算して照合する手間が発生してしまいます。

さらに金庫内の現金と出納帳残高が合っていない場合に、疑われるのは金庫担当社員です。盗難や数え間違いの度にあらぬ疑いをかけられる可能性もあります。

小口現金があると普段の業務や緊急の用事の際に便利なようですが、管理するだけでも負担が生じているのが現状です。大企業ではキャシュレス決済が定着しているところも増えているので、小口現金用の手提げ金庫は廃止する姿勢が必要です。

2.インターネットを最大限活用する

現金のやり取りを減らすだけでなく、インターネットを最大限活用するのも経理部門のコストや手間を減らすには重要です。

MM総研の従業員300人以下の中小企業等8,851社を対象にした「国内法人におけるクラウド会計ソフトの導入実態について調査結果」では、クラウド型ソフトを導入している場合は、法人口座の利用が70%以上であることが判明しています。

(引用: 株式会社MM総研「クラウド会計ソフトの法人導入実態調査」
https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=260

またクレジットカードの利用状況でも、クラウド型ソフトの利用者の方が事業用カードの利用が多いという結果が出ました。

引用: 株式会社MM総研「クラウド会計ソフトの法人導入実態調査」
https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=260

中小企業では他の部門と経理業務を兼任している人が少なくないため、クラウド型会計ソフトとインターネットバンキングなどの外部データを連携させて、業務の効率化や生産性を向上させたいという意識が強いと考えられます。

またクラウド型会計ソフトを導入すれば、入力ミスや二重仕分けをしてもチェック機能や一括修正が可能なので、リカバーも早いです。

さらに会計ソフトの仕様者・管理者の権限設定ができるので、情報漏洩や無断使用が防げるだけでなく、外部委託してランニングコストを下げることもできます。取引先への支払日、給料日、立替金の精算日などに社内のパソコンを使うだけで業務が完了し、銀行への外出を極力無くせるのも大きなメリットと言えるでしょう。

まだまだ自動化できる経理以外の業務とは?

ここまでは経理部門の業務効率化・コスト削減について解説してきました。

現場レベルではさらに自動化できる業務として、「書類や伝票の電子化」に63.2%が課題を感じていると、株式会社インフォマートの「コロナ禍における経理・財務の業務内容についてのアンケート調査」で判明しています。

引用:株式会社インフォマート「コロナ禍における経理・財務の業務内容についてのアンケート調査」https://corp.infomart.co.jp/news/detail.html?itemid=906

さらに業務改善などの新しい取り組みとして、「直近の1年程度で、貴社の経理・財務部門で業務改善などの新しい取り組みを行いましたか (複数回答)」の質問については、「作業工程・ルールの見直し」を行ったのが35.7%と3割強を占める結果となりました。

引用:株式会社インフォマート「コロナ禍における経理・財務の業務内容についてのアンケート調査」https://corp.infomart.co.jp/news/detail.html?itemid=906

テレワークを導入しても手入力による処理が実務レベルで発生し、出社しないといけない場合も多々あるのが現状です。

できるだけ無駄な業務を効率化し、デジタル化で必要な仕事に注力できる環境を整えられるかが今後の経理部門の課題と言えるでしょう。

デジタル化支援のサービスを提供している企業も多いので、この機会にぜひデジタル化や業務効率化を検討してみてはいかがでしょうか。